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名誉院長心のエッセイ -枚方市歯科医師会報-

父(ちち)母(はは)もその父(ちち)母(はは)も 牧野班 宮﨑 白雲斎 洋

あなたの命はあなた一人のものではない。父(ちち)母(はは)、その父(ちち)母(はは)と幾世代にもわたり、連綿と続いてきた命。その命の炎が一度も途切れることなく続いてきたからこそ、あなたの命がある。

あなたの身体の中には幾百万、幾千万という先祖の連綿たる命の炎が燃えている。

そういう尊い命の結晶が自分であることに深い思いをはせ、自分を愛し、自分を敬うような生き方をしなければならない。

私たちが決して忘れてはならない人生の大側である。二宮尊徳の道歌を紹介しましょう。

父(ちち)母(はは)もその父(ちち)母(はは)もわが身なり
われを愛せよ我を敬せよ

われわれがこの世に生をうけたのは、自分の努力などとは全く関わりのない事柄であって、まったく自己を超えた大いなる力に催されてのことである。

われわれはこの世に生をうけた後といえども、そうとう永い間、自分が人間としてこの世へ生まれ出たことに対して、何ら気付くことなく過ごして来たのである。それどころかわれわれ人間は、厳密には何人(なんびと)も自分の生年月日も、その生誕の場所も知らないわけです。皆様が知っていると考えている自分の生年月日は、実はご両親から教えられ聞かされた結果であって、われわれは直接に自分の生年月日や生誕の場所を知るものではないのです。そればかりか、皆様は自分のお尻におむつをつけられていたことさえ記憶している人はないでしょう。ということは、われわれ人間は、ひとり自己の生年月日や生まれた場所を知らないのみならず、おむつのとれる年頃までも、自分の存在については、ほとんど知る所がないのです。われわれ人間の根本的な無知の一つの事例と考えていいでしょう。

われわれ人間は自分がここに人間として生を受けたことに対して、多少なりとも感謝の念の起こらない間は、真に人生を生きるものと言いがたいと思われます。

人生で一番大事な法則、これを遵守(じゅんしゅ)すれば人生は大丈夫という原則、すなわち人生の大則とは何でしょうか。

森信三(もり のぶぞう)「修身教授録」、安岡正篤(やすおか まさひろ)、二宮尊徳(にのみや そんとく)など先哲の語録によると、まず自分を創(つく)ること。

では、どうすれば自分を創ることができるのでしょうか。

一つは、人生に対して覚悟を決めること。覚悟を決めない限り、真の人生は始まらない、先哲は繰り返しこのことを説いています。

二つは、傲慢(ごうまん)になるな、謙敬(けんけい)(謙虚で、敬い、慎つつしむこと)であれ、と教える。不遇の時には謙虚だった人が、うまくいきだすと傲慢になる。人間の通弊(つうへい)である。だが、傲慢になった時、天はその人の足をすくう。

三つは、誠実であれ、ということ。誠実は古来聖賢がもっとも大事にした人間最高の徳目である。

四つは、久しく続けることである。私は、本業である歯科医師をあと数年頑張り続ければ、50年になります。しかし、世間は広い。各界を見渡せば、60年、70年、80年と仕事を続けている先達(せんだつ)がいます。皆様、今年も一日一日を希望をもって感謝とともに頑張りましょう。

2008年(平成20年)1月6日

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